ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の取扱について教えて下さい。
A.ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の規定により、ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物を保管している事業者は保管状況等届出を提出することとされています。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)とは
水に極めて溶けにくく。沸点が高いなどの物理的な性質を有する主に油状の物質で、熱により分解しにくく、不燃性・絶縁性がよく科学的に安定した性質を持っていることから、電気を使うためのトランスやコンデンサ用の絶縁油に使用されていました。
人や動物にとって有害なため製造中止になっていますが、処理できず保管したままになっています。
建築物や工作物の解体・改修工事などの際に発生するトランス、コンデンサ、蛍光灯安定器・水銀灯安定器等の電気機器は、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む絶縁油を使用している可能性があるので取扱いには注意が必要です。
特に電気室、変電室、キュービクル、工作機等の受配電設備・機器にはトランス、コンデンサ、整流器、開閉器、遮断器等の電気機器が設置されているので建築物の解体工事にあたっては必ず現場を確認し、また作業の際はコンデンサ等の機器が破損しないよう十分な注意をする必要があります。
製造が中止されてからPCB廃棄物が30年以上に渡り保管され続けています。このように処理ができないまま保管期間が長期に渡ったため、その間に紛失したり行方不明になったトランスなどに入っていたPCB廃棄物による環境汚染が懸念される状況にあります。
そのため、環境省ではポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法を定めました。
- PCB廃棄物を保管する事業者に一定期間内に処分することを義務付け
- PCB廃棄物保管事業者等に保管状況の毎年度の届出を義務化
- 国はPCB廃棄物処理基本計画を策定、都道府県は国の基本計画に則してPCBは聞き物処理計画を策定
- PCB製造者等は国及び地方公共団体が実施する施策に協力
高濃度PCB廃棄物については日本環境安全事業株式会社(JESCO)が全国5か所に処理施設を設け広域的に処理事業を行うことになりました。
また、微量PCB廃棄物についても、廃棄物処理法に基づく無害処理認定施設等において処理が行われています。
※処理期限を過ぎるとPCB廃棄物の処理はできなくなるので、必ず期間内に処理を行う必要があります。
PCB廃棄物の判別方法
高濃度PCB廃棄物
昭和30年から昭和47年にかけて製造されたPCBを意図的に使用している機器。
日本環境安全事業株式会社(JESCO)で処理しますが、登録が必要であり、県への届出も必要です。
微量PCB廃棄物
昭和30年から昭和47年の期間外でメーカーと型式が確認でき、濃度が0.5㎎/kg超。
県への届出が必要です。
※PCB濃度が0.5㎎/kg以下の場合は通常の産業廃棄物・特別管理産業廃棄物として処理できます。
PCB廃棄物の処分について
PCB廃棄物を保管している業者は平成39年3月31日までにPCB廃棄物を自ら処分するか処分を委託しなければなりません。
ただし、熊本県では国の指導に基づき高濃度PCB廃棄物については平成25年12月から平成26年1月まで、微量PCB廃棄物については平成27年3月までの処理を目指しています。
PCB廃棄物を保管している事業所は毎年度6月30日までに保管状況を届出る必要があります。届を怠れば6カ月以下の懲役、又は50万円以下の罰金に処せられます。
廃棄処分期間は各都道府県により異なりますので確認が必要です