建設業で働く労働者には熟練した知識やノウハウが求められます。従来こうしたスキルは実戦経験を経て身につけていくのものでした。
しかし中小企業にとってはそうした現場での人材育成にかかるコストが経営を圧迫してしまうケースも少なくありません。
下請け、孫請けを担当している建設企業となると厳しい資金繰りの中で工事を行いながら人材育成にもお金をかけなければならない、そんな厳しい状況に晒されることも多いのです。
そうした建設労働者の人材育成につきまとう問題点を改善するために厚生労働省が用意した制度が建設労働者確保育成助成金です。
この制度は中小規模の建設業の事業者が人材育成のために教育訓練や実技の講習を行った際にかかったコストの一部を助成金として受け取ることができるものです。
人材への投資は先行投資として惜しんではならない、とよく言われますが、実際にはなかなか難しいこのテーマを助成金の形でサポートしようというわけです。
この助成金は「中小規模の建設業」を対象にしたと書きましたが、利用できる事業者には明確な条件が設けられています。
まず基本中の基本として建設業であること。そして雇用保険率が1000分の16.5であること、さらに資本金が3億円以下あるいは従業員が300人以下であること。受講者が雇用保険の被保険者であることも絶対条件です。
こうした条件をクリアし、助成金を受け取れるようになることで講習・訓練の際にかかった受講料の80パーセント分と一人最大8000円までの日当が助成されます。未成熟の人材が業務に必要なスキルを身につけるために給料を支払わなければならないといった不安を大幅に軽減することができるというわけです。
なお、実際にどのような訓練・教育が助成金の対象になるかについてはかなり詳しい内容が設定されているうえ、訓練の内容によって日当の支給額、支給の限度日数分などが異なっています。
あらかじめ厚生労働省のホームページで確認することが不可欠でしょう。なお、若年労働者、女性労働者の入職・定着を図る事業の経費、東日本大震災の被災県を対象にした作業員宿舎の設置にかかる経費の助成もこの助成金の範囲に含まれています。
当然助成金の支給を受け取るためには届出と申請が必要となります。講習・訓練を実施する1カ月前までに届け出ることが必要があるのであらかじめ手続き方法や書類の作成方法、提出先などを確認しておきましょう。
労働局やハローワークなどが支給申請だけでなく相談窓口となっています。他にも先述した厚生労働省のホームページからの情報もうまく活用しましょう。